外壁塗装をすると多額の費用を払って、大切な家を託すので、悪徳業者にだまされたくありませんよね。
外壁塗装や屋根塗装、リフォームには、悪徳業者の被害がよく見られます。
悪徳業者に騙される原因は、業者と依頼者に知識量の差があることです。
このページでは、外壁塗装の悪徳業者の実態やよくある手口、騙されないための対処法についてまとめました。
あなたの大切な家族や家を守るために、悪徳業者を見分ける方法を見ていきましょう。
外壁塗装の悪徳業者の実態
外壁塗装を業者に依頼してトラブルになるケースは、年々増加しています。
次の表は、国民生活センター寄せられた悪徳業者による被害の相談件数です。
訪問販売によるリフォーム工事
年度 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
相談件数 | 7,223 | 8,000 | 8,757 | 1,864(前年同期1,464) |
※ここでは、「屋根工事」「壁工事」「増改築工事」「塗装工事」「内装工事」の合計を「リフォーム工事」としています。
点検商法
年度 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
相談件数 | 5,684 | 5,759 | 7,009 | 1,424(前年同期1,149) |
相談件数は2021年6月30日現在(消費生活センター等からの経由相談は含まれていません)
(引用:独立行政法人国民生活センターhttp://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/reformtenken.html)
訪問販売によるリフォーム工事や点検商法に関する相談が、毎年5,000件以上も国民生活センターに寄せられています。
主なターゲット層は高齢者で、突然の訪問販売や強引な営業セールスで強制的に契約してしまうケースが多いです。
突然の訪問販売や強引な営業をされたときは、勇気をもって断るか、契約する前に信頼できる家族や友人に相談することが大切です。
外壁塗装の悪徳業者によくある手口10選
外壁塗装の悪徳業者に騙されないためには、業者が使う手口を把握しておく必要があります。
10通りのよくある手口を見ていきましょう。
訪問販売
「外壁がひび割れていて倒壊しそうです。」
「台風や大雨が来たら確実に雨漏りしますよ。」
「今すぐに修理しないと大変なことになりますよ。」
特に地震や洪水などの自然災後に、訪問業者が頻繁に使用する営業トークの一つです。
高齢者や主婦などのターゲットを不安にさせ、セールストークを仕掛けてくる悪徳業者には気をつけましょう。
外壁は大きなひび割れなどがないかぎり、倒壊する恐れはほとんどありません。
そのため、外壁塗装業者が突然訪問してきて、不安を煽ってきても安易に信じてはいけません。
オリジナル塗料の販売
「自社開発のオリジナル塗料があり、品質や料金は大手メーカーに負けていません。」
「自社開発できるほど、技術力には自信があります」
なかには、メーカーの塗料に少し独自の成分を混ぜただけで、オリジナル塗料があるとアピールする悪徳業者もいます。
日本ペイントや関西ペイント、エスケー化研など、有名な塗料メーカーが数多くあり、そう簡単にはメーカーと同じ品質の塗料を作れません。
オリジナル塗料を販売している業者が、必ずしも悪徳業者であるというわけではありませんが、悪徳業者がオリジナル塗料を勧めてくるケースは多いので注意しましょう。
無料で点検してくれる
「キャンペーン中なので、点検は無料です。」
「無料で屋根や外壁の見積をしますよ。」
「キャンペーン中」や「無料」は、悪徳業者のうたい文句です。
ハードルを下げたあとで、さらに高額な料金を請求してくる業者には注意しましょう。
営業マンの狙いは、消費者に恩という貸しをつくって、そのあとの高額な見積もりの交渉にもっていくためです。
居住者の不安を煽る言葉で点検サービスを提案してきたら、悪徳業者の可能性を疑った方がいいでしょう。
大幅な値引きを提案してくる
「半額にする。」
「100万円以上安くする。」
「モニター価格」
10万円前後であればまだ値引きの範囲内ですが、30万~100万など高額な値引きで客を騙そうとする悪徳業者もいます。
業者から値引きを持ち掛けることはまず考えられないので、値引きを提案されたらそのあとに高額な請求をもちかけられる可能性が高いです。
モニター価格といって割引の口実を付け加えてきても、契約を急かしてくる場合は要注意です。
費用を全額先払い
「工事費用を先に支払ってほしい。」
「工事費用の一部を先に払ってほしい。」
外壁塗装の工事費用を支払うのは、一般的に工事の後です。
なぜなら、施工後の品質が保証できないからです。
費用を全額または一部先払いしてほしいと言う業者には、警戒した方がいいでしょう。
契約を急かしてくる
「外壁塗装が劣化しているので、このままでは倒壊します。」
「隣のお宅もしているのにやらないんですか!」
悪徳業者は、居住者を不安にさせるセールストークが得意です。
いきなり訪問してきて緊急性を煽る流れは、悪徳業者の可能性が高いので聞き入ってはいけません。
あなたを脅すようなうたい文句で迫ってきた場合は、きっぱりと断りましょう。
自治体や大手企業を装う
「お忙しいところ恐れ入ります、〇〇の社員(職員)ですが…。」
「〇〇の代理店です。」
悪徳業者は、大手企業の社員や自治体の職員と偽って訪問してくることがあります。
大手企業や自治体のブランド力や肩書を利用して、居住者の心理的不安を下げるためです。
下請け業者や代理業者などが塗装工事することはありますが、そのような会社であっても突然訪問してくることはまずありえません。
怪しい場合は、企業や自治体に直接連絡して、本当に営業マンが在籍しているかを確認しましょう。
屋根塗装が見積もりに含まれていない
「(外壁塗装した後に)屋根も塗装した方がいいですよ」
外壁塗装の後に、屋根の塗装を追加提案してくる業者には要注意です。
屋根は常に日光や雨水を浴びるので、外壁よりも劣化しやすい場所で、外壁塗装と一緒に行うのが一般的です。
それにも関わらず、屋根の塗装が見積書に含まれていない場合は注意しなければいけません。
一見すると相場価格のように感じても、屋根が含まれていないため相場よりも高額になっている可能性があります。
工程・工数に手抜きがある
→通常は下塗り・中塗り・上塗りしなければならないが2回しか塗らない、きちんと乾燥する前に次の塗装工程に移ってしまう、など
塗装は、部材や塗料によって異なる場合がありますが、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本です。
ところが、悪徳業者は2回塗りしかせず、一回省くことで、工数と材料費を節約しようとしています。
また、きちんと乾かさずに次の塗装工程に移り、時間を短縮させようと企む業者もいます。
そうすると耐久性が劣り、もう一度塗り直ししなければいけません。
追加工事を迫ってくる
ある程度施工が進んだ段階で、追加工事を持ちかけてくる業者も注意が必要です。
悪徳業者のなかには、施工中にわざと屋根や外壁を破損させて、追加工事を請求してくる場合もあります。
そのため、施工前の打ち合わせは入念にしなければいけません。
悪徳業者に騙されないための対処法6つ
外壁塗装工事によるトラブルは、年々増えてきているのが現状です。
そこで、悪徳業者に騙されないための具体的な対処法を見ていきましょう。
訪問営業を信用してはいけない
悪徳業者の多くは、高齢者や共働き世帯を狙って訪問営業を仕掛けてきます。
契約をとれるターゲット層がわかっているからです。
訪問営業すべてが悪いわけでありませんが、最近はインターネットを使った営業などが主流です。
そのため、突然訪れてきた業者のことを、安易に信用するのはやめた方がいいでしょう。
セールストークに即決しない
「今日中に契約していただけるなら半額で施工します。」
「今すぐ直さないと外壁が崩れて大変なことになりますよ。」
あなたの不安をあおり、すぐに契約させよう業者は、悪徳業者の可能性が高いです。
不安なときは業者に「考える時間をください」といい、1人で抱え込まずに家族や友達などに相談しましょう。
怪しいと感じたらきっぱりと断る
少しでも訪問業者のことを怪しいと思ったら、きっぱりと断りましょう。
相手は営業のプロなので、少しでもあいまいな態度をとったら、あの手この手で契約させようとしてきます。
もし強く断りづらいなら「すでに他社と契約しています」など、他社と契約済みであることをアピールしましょう。
マーキングを見つけたときはすぐに消す
悪徳業者の営業マンが、ターゲット層のライフスタイルを記号などでを使って、仲間内にしかわからないようにすることをマーキングといいます。
マーキングは表札やドアノブ、郵便ポストや電気(ガス)メーターの死角に書かれることが多いので、普段玄関や庭の掃除をするときに意識的に確認しましょう。
このようなマーキングは空き巣や泥棒などの手口にも使われているので、不審なことやおかしなことがあったらすぐに警察に相談しましょう。
会社名や口コミを調べる
営業マンからもらった業者のパンフレット記載の会社情報をもとに、口コミをネットで検索すると、その業者が信頼できる相手かある程度わかります。
業者の対応や施工の品質が悪ければ、悪い口コミは多くなり評価も下がり続けるからです。
また、口コミサイトで「大金を支払ってしまった」「業者とトラブルになった」という悪い口コミが多いなら、その業者に依頼しない方が賢明でしょう。
複数の業者で相見積もりを取る
悪徳業者が提示した見積金額に対して、素人は高いのか安いのかの判断がつきません。
相場価格がわからないときは、業者の提示した金額と他社の見積もり金額を比較してみてください。
業者には、「他社の見積金額と比較して決めたいのでしばらく時間をください」と伝えればOKです。
業者のセールスマンがいない空間で、落ち着いてインターネットなどを使って他社の見積もり金額と比較して決断しましょう。
信頼できる外壁塗装業者を選ぶポイント
信頼できる外壁塗装業者の特徴について紹介します。
いくつか候補の業者の中から一社を選ぶときの参考にしてください。
住宅を正しく診断してくれるか
外壁塗装の見積もりを正しく診断するには、入念な住宅のチェックが欠かせません。
外壁塗装の見積もりは、住宅の診断結果に応じて算出するからです。
そのため、そもそもしっかりと住宅をチェックしない業者は論外です。
営業マンが誠実な応対をしているか
塗装工事をするのは専門業者ですが、料金や工法の説明を受けるのは営業マンからです。
そのため、信頼できる営業マンを見極めることが大切です。
誠実な応対をしてくれる営業マンに出会えたら、値引きや工事内容の細かい変更を交渉してくれることもあります。
適正価格を提示しているか
信頼できる業者は、適正価格を提示してくれます。
そうはいっても、外壁塗装は住宅の大きさや劣化状況、劣化の進行によって異なるため、金額は決まっていません。
信頼できる業者か見極めるためにも、外壁塗装の相場価格を知っておくことが大切です。
明らかに高額な費用を提示された場合は、断った方がいいでしょう。
見積書にきちんと根拠が明記されているか
→「一式」などを多用する業者に注意
見積書に「一式」という言葉があるときは、要注意です。
なぜなら、業者が複数ある工程の見積もりを合体させて、トータルで高い見積金額にして利益を得る手口だからです。
一式と書かれているときは、業者に直接詳細に質問してみましょう。
回答に詰まったら、おそらく高額な見積もりにしている可能性が高いです。
保証やアフターケアがあるか確認する
外壁塗装には保証やアフターケアをつける義務はありません。
そのため、保証やアフターケアをつけて業者がどこまで責任を負う覚悟があるかも、信頼できる業者を選ぶポイントになります。
何を、どのぐらい保証できるのか確認しておくといいでしょう。
もし契約した後に悪徳業者と気づいたら
外壁塗装のリフォームを契約した後に、悪徳業者と気づいた場合への対応策について紹介します。
クーリングオフ制度を利用する
悪徳業者と契約してしまった場合、一週間以内ならクーリングオフできます。
クーリングオフが適用されるケースは以下の5つです。
- 「クーリングオフ適用可能」と記載の書面を受け取ってから、8日以内の場合
- 契約者側から業者と連絡を取ったり、業者の事務所(店舗)まで行っていない場合
- 個人が法人と契約をしている場合
- 契約書等ににクーリングオフについての注意書きをしていない場合
- 業者がクーリングオフさせないように嘘をついて契約させた場合
工事が始まるとキャンセルが難しくなるので、早めに決断しましょう。
国民生活センターや地方公共団体の消費者センターに相談する
国民生活センターや消費者センターでは、外壁塗装を含むさまざまな売買契約のトラブルの無料相談に応じています。
トラブル解決のサポートや対処法のアドバイスをもらえるので、最初の相談先として最適です。
弁護士に相談する
クーリングオフの期限が過ぎている場合や国民生活センターで解決できない場合、弁護士相談しましょう。
依頼費用が必要ですが、最後まで仲裁や和解に至るように動いてくれるので、事態の改善が期待できます。
まとめ
外壁塗装の悪徳業者は、突然訪問してきて、居住者の心理を不安にさせるような営業トークを上手に使い、高額な施工費用を請求してきます。
悪徳業者の特徴は次の5つです。
- 訪問販売
- 無料や大幅な値引きを提案してくる
- 契約を急がす
- 見積項目に「一式」という言葉を使う
- インターネット上の口コミがや評判がよくない
外壁塗装の契約後に高額な費用を請求されたり、騙されたと気付いたりした場合は、すぐに国民生活センターや弁護士に相談しましょう。